はぎの通信 No.144(イチローさんの訪問から学ぶこと)
はぎの通信 No. 144 (R7. 11.10)
中越高等学校長 萩野 俊哉(はぎの・しゅんや)
イチローさんの訪問から学ぶこと
(What we can learn from Ichiro's visit)
11月8日(土)と9日(日)の2日間、あのイチローさんが「日本の野球のさらなる発展のために」という思いをもって中越高校の野球部を訪れてくださいました。これからテレビや新聞などでも大きく取り上げられると思いますが、何よりも、目の前で野球に向き合うその姿勢から、私たちが学べることは非常に大きかったと思います。
8日には悠久山球場で、本校と他校の生徒が組んだ合同チームの試合をご覧いただきました。試合後には、ご自分でも見本を示しながらの、フォームの細やかな指導や、プレーに向かう姿勢についての助言、そして力強い激励をいただきました。9日は本校のグラウンドで野球部の練習をじっくりと見ていただき、同じように丁寧な指導と励ましの言葉をかけてくださいました。私も2日間フルで間近で選手・生徒たちと一緒にお話をお聞きし、お話をさせていただきました。
イチローさんは、華やかな記録や名声で語られることが多い選手ですが、今回私たちが目にしたのは「積み重ねる人」の姿でした。プレーする選手ひとりひとりの目を見て、何度でも手本を示し、納得するまで身体の使い方を説明する。その真剣さは、まさに「本気の人」のもつ空気そのものでした。
また、イチローさんと長岡そして悠久山球場とは所縁があって、イチローさん(当時オリックスの鈴木一朗選手)は、1993年6月12日に悠久山球場で行われた近鉄バファローズ戦で、後に大リーグで活躍することになる野茂英雄投手からプロ入り初ホームランを打ちました。そのホームランは悠久山球場で記録され、現在も球場にはその偉業を記念したメモリアルコーナーが設置されています。そして、そのホームランはただの一打ではなく、今から思うと「これから世界へと挑戦しようとする者どうしが全力でぶつかった象徴のような一打」でした。今回そのような悠久山球場を訪れていただいたことは、新たに長岡の地にもその挑戦の物語がつながった、そんな意味を感じさせてくれます。
生徒のみなさんへ。
イチローさんが私たちに残してくださったメッセージは、とてもシンプルです。
「毎日を本気で積み重ねる人だけが、未来を変える。」
才能より、運より、環境より、自分が今日どう向き合うか。そのことが、人生をつくります。野球部の皆さんだけではありません。他の部活動でも、日頃の勉強でも、日常の生活でも、同じです。「できることを、丁寧に、くり返す」ことが、必ず皆さんを強くします。
今回の2日間は、中越高校にとって記念すべき日となりました。そしてそれは、「見るだけの感動」で終わらせてはなりません。ここから、始めましょう。自分を高めるための「本気の一歩」を。
以上