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2024.03.11 校長ブログ

はぎの通信 No.65(人生の転機)

 

はぎの通信 No.65 (R6. 3.11)

 

中越高等学校長 萩野 俊哉(はぎの・しゅんや)

 

人生の転機(Turning point in life

 

 先日の卒業式での私の式辞の内容を知りたいというリクエストを多くの方からいただいておりますので、以下に抜粋してお伝えいたします。

 

... さて、本日ここに巣立ちゆく皆さんへ向けて私から大きく「人生の転機」というテーマでお話をさせていただき、はなむけのことばといたします。

 「転機」というのは「転換期」とか「変わり目」という意味です。まさに本日のこの卒業式も卒業生の皆さんにとってはひとつの大きな「人生の転機」と言えるでしょう。そして、卒業式に限らず、私たちには誰にでも、生きていく中で、自分の人生の方向を大きく 変えるチャンス、すなわち「転機」があります。皆さんの親やまわりの親しい大人に尋ねてみるとよいでしょう。ただ流れにのって、なんとなく今まで生きてきたという人はまずいないと思います。

 転機は、普通に考えれば、入学や卒業・就職、結婚などといった大きな出来事のことを指しますが、それと同時に、個人的な契機や「きっかけ」であることも意外と多いのです。たとえば、日本を代表するノンフィクション ・ライターとして有名な落合信彦氏に1960年代にアメリカへ向かう決意をさせたのは、当時彼の兄が、母子家庭という理由だけで理不尽にも就職試験に不合格となるような日本社会への強い憤りでした。あるいは、また、つい先月亡くなられた、世界に冠たる大指揮者であった小沢征爾氏の人生を180度変えたのは、ある夜聞いたピアノコンチェルト「皇帝」のライブ演奏でした。

 失敗に打ちのめされて、「自分はなんでこんなにダメなんだ」と地団駄を踏んで悔しがり、一念発起した結果、自分を改造する人もいます。人から大きな仕事を任されて、粘り強く責任を遂行しながら自己変革を果たす人もいます。また、人から言われた一言に全身を貫かれるようなショックを受けて、人生を根本的に変えた人も少なくありません。人生を振り返る書物などで、「あの失敗が現在の私を作った」とか「あの一言が私を変えた」というようなタイトルを見いだすことが多々あるのは、人生にとって転機つまり、「変わり目」がいかに重要な意味を持つかを教えてくれます。私が今まで見てきた高校生の中にも、在学中のある「きっかけ」を大きな転機にした人が数えきれないくらい大勢います。

 それらの「きっかけ」はどこにでもあります。しかし、それは受け身的に待っていたのでは決して転機に変わることはありません。契機を、すなわちある「きっかけ」を、転機に変えることができるには、次の三つの条件が必要であるように思います。

 まず第一に、「自分はこのままではいけないのだ。なんとかしなくては。」という、自分に対する懐疑や焦りを常に抱いていること。すなわち、わかりやすく言うと、現在の自分に絶えず不満を感じているということです 。

 二番目は、失敗から何かを学んだり、あるいは、人の言うことを素直に自分のものとして学び取る力です。

 三つ目は、きっかけをとらえたら、ここぞと力を注ぎ、いったん始めたことは、何かが見えてくるまで石にかじりついてもやり通す意志の力、すなわち持続力です。

 繰り返します。大切なのは、一つ目は「自分自身に対する不満感」、二つ目は「学び取る力」、そして三つは「持続力」です。

 人は何かに満足したときにその成長が止まります。そして、人は何かをあきらめたときに「老い」が、老化現象が始まります。

 今私の話したことをちょっと頭の片隅において、これからの人生を過ごしてみてください。きっと新しい自分を自分で創りだすことができるかもしれません。 ...

以上